第02回公開講演会(岡倉天心市民研究会共催)/初子と天心の物語り
第2回公開講演会(岡倉天心市民研究会共催)
初子と天心の物語り
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講 師:中村愿(作家)
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日 時:平成28年(2016)11月26日(土)午後2時~午後3時30分
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会 場:横浜市大倉山記念館ホール
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定 員:50名(入場無料、予約なし、当日先着順)
九鬼隆一夫人初子と岡倉覚三(天心)は、若いころ深い恋に陥りました。三歳年上の初子にはすでに三人の児があり、文部省に就職して間もない覚三もまた一児の父でしたが、ふたりは如何なる縁か出遇ってしまったのです。
かくして初子は、離婚に応じない夫と家制度を死守する一族郎党との闘争を繰り返しつつ、また覚三は破滅の淵にあった日本美術の復興に全力を傾注しながら、ふたりは激しい道行きを重ねていきます。しかしその果てに痛ましい悲劇が待ち受けていたことを、いったい誰が予想しえたでしょう......。
岡倉覚三が東京藝術大学や日本美術院の生みの親であり、名著『東洋の理想』や『茶の本』などの著者であることは世界的に知られています。また太平洋戦争において彼のことば"Asia is one." が、日本の侵略に悪用されたことも忘れてはなりません。
近来、岡倉についての研究が進んでいるでしょうが、過去の岡倉論についての検証が充分なされないままになっている気がします。そこであえて一度、初子と覚三の日常における人間としての生き様に、焦点をあててみようと思うのです。