第04回公開講演会(岡倉天心市民研究会共催)/哲学と茶による東西融合-岡倉天心の『茶の本』をよむ-
第4回公開講演会(岡倉天心市民研究会共催)
哲学と茶による東西融合-岡倉天心の『茶の本』をよむ-
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講 師:田中仙堂(大日本茶道学会会長)
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日 時:平成30年(2018)12月1日(土)午後2時~午後3時30分
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会 場:横浜市大倉山記念館 ホール
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定 員:40名(入場無料、予約なし当日先着順)
岡倉天心の『茶の本』での茶道の定義は、二つの点で特異です。第一は、茶道を"Teaism"という言葉で定義している点。第二には、茶道を「審美主義の宗教」と、宗教の範疇で定義しようとしている点。第一の点は、"Taoism(道家思想)""Zennism(禅道)"と三者を並べて用いていることと関係ありそうです。第二の点に関連しては、『東洋の理想』で、日本の美術の流れを仏教や儒教の流れとあわせて論じ、キリスト教文化圏たる「西洋」に対する仏教文化圏としての「東洋」という意味づけを、"East"に与えた点が思い起こされます。
天心が、「東洋哲学」の存在をアピールした背景には、東西の融合という目的があり、第一章を"The cup of humanity(人間性を盛る一椀)"と名付けたことにもつながる点を、『茶の本』執筆当時のボストンの状況を背景に考えてみたいと思います。