第14回公開講演会(愛知大学共催)/最晩年の芥川龍之介
第14回公開講演会(愛知大学共催)
最晩年の芥川龍之介
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講 師:藤井貴志(愛知大学文学部准教授)
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日 時:平成28年(2016)7月2日(土)
芥川龍之介は昭和2年7月24日、35歳の若さで自殺しました。芸術至上主義者として多くの傑作を残し、大正期を代表する作家であった芥川の突然の死は同時代に衝撃をもって受け止められました。芥川の死から昭和文学が始まるとは多くの文学史が教えるところです。 文壇向けの遺書とも取れる遺稿「或旧友へ送る手記」の中に芥川は、自らの「自殺の動機」は「何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」であると記しています。この〈ぼんやりした不安〉という謎めいた言葉は、その後の世界恐慌(昭和4年)、満州事変(昭和6年)、小林多喜二虐殺(昭和8年)など、暗い時代へと突入していく同時代の気分を射貫いたものとして流行語となります。 芥川が自らの死の理由とした〈ぼんやりした不安〉とは何だったのでしょうか。
この講演では、遺稿「或阿呆の一生」を具体的に読み解きながら、最晩年の芥川龍之介について考えてみたいと思います。