第90回(第89回:開催延期)大倉山講演会/江戸時代医学諸派にみる身体観と養生思想
令和3年「こころを磨き からだを鍛える」/第1回(第90回:実施、第89回:開催延期)
江戸時代医学諸派にみる身体観と養生思想
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講 師:町泉寿郎(二松學舍大学教授)
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日 時:令和3年(2021)3月20日(土) 14時~15時30分
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会 場:横浜市大倉山記念館ホール
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定 員:40名(入場無料、事前予約、先着順)
医学は不変の人体や生命現象に立脚する科学であると同時に、社会風土や歴史文化の影響をうける身体観・疾病観や医療に関する営為の蓄積です。東洋医学は中国で陰陽・五行説(いんよう・ごぎょうせつ)を基礎として始まり、漢の時代に湯液(とうえき)(漢方)・鍼灸(しんきゅう)・本草(ほんぞう)などの医学古典籍が成立し、宋代以降に古典籍相互間の理論化が進みました。中国医学理論は日本にも伝わり、戦国時代には後世方派(ごせいほうは)と称される曲直瀬道三(まなせどうざん)が、「察証弁治(さっしょうべんち)」という精緻な医学と治術を確立しました。その後、江戸時代にはいくつもの医学諸派が生れます。古方派(こほうは)は、陰陽・五行などの理論は真理そのものではなく、人間社会の利用厚生に役立つ近似値と捉え、個体差のある人体そのものに注視するようになります。さらに漢蘭折衷派の医家たちは、蘭学の解剖知識と中国古典の記述の整合を目指すようになります。
こうした医学の考え方の変化につれて、身体観や「養生」の考え方にも変化が見られます。「心と体」の問題を江戸時代の医学を通して考えます。