第●回大倉山講演会/日本のたまごころ-蹴鞠(けまり)から野球まで-
平成15年度前期「武道精神とスポーツ精神」/第4回
日本のたまごころ-蹴鞠(けまり)から野球まで-
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講 師:渡辺融(東京大学名誉教授)
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日 時:平成15年(2003)7月19日(土)
「えごころ」という言葉は「絵心が湧く」のように、絵を描こうとする意欲を指す場合もあり、また「絵心がある」のように、絵を描いたり、鑑賞したりする能力を指す場合もあります。今回の「たまごころ(球心)」はこれに類する用法で、「球戯を楽しむ気持」あるいは「球戯をプレーし、これを鑑賞する能力」という程の意味です。
我々は明治の初年にベースボールを知り、以来約130年間これを楽しんで来ました。その間に「野球」という訳語を作り、また「一球入魂」などという球心をも育ててきました。つまり、野球には、単なるベースボールではなく近代日本が作った固有の文化という側面があります。先年、助っ人として来た大リーガーが「海の向こうにもう一つのベースボールがあった」と言ったのはこのあたりの事情を指すのでしょう。
古来、日本の人々は豊かな球心を持っていました。千年来日本で愛好されて来た蹴鞠を含めて、人々が育てて来た「たまごころ」についてお話ししたいと思います。