第●回大倉山講演会 「社寺林保護のエコロジーと精神環境」
平成16年度「港北の自然と文化」/第4回
社寺林保護のエコロジーと精神環境
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講 師:川瀬博(神奈川大学)
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日 時:平成16年(2004)9月18日(土)
1960年代の高度成長期以降30年間に、横浜の緑地は急激に減少しました。そして、地域の緑のシンボルともいえる社林、寺林の広さも、開発により狭められてしまいました。
社林について歴史的に見れば、1906年(明治39年)に政府より出された神社合祀令によって、多くの神林も失われいったといわれています。当時、和歌山の地にあって、民俗学者の南方熊楠は、神社合併反対意見書を出して、その政策を批判しました。この熊楠の見識は時代を超えて現代にも生かされなければならないものと考えます。
一方、高度成長期において、植生学者の宮脇昭は、鎮守の森の植物社会学的な価値を高く評価し、神奈川県内の社寺林調査を実施するとともに、その保護策を提唱しました。ここ横浜の港北においてはどうだったのでしょうか。この講演では、社寺林の生態学的な価値にとどまることなく、精神環境としての価値についてもお話しします。