第●回大倉山講演会/奈良・平安時代の法曹教育-「令義解」の魅力-
平成19年度「日本古典に親しむ」/第3回
奈良・平安時代の法曹教育-「令義解」の魅力-
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講 師:宮部香織(亜細亜大学)
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日 時:平成19年(2007)12月15日(土)
『令義解』は、奈良時代に制定された養老律令の令法典についての注釈書です。平安初期に国家事業としてその編纂が行われました。この事業が発足したきっかけは、律令を学ぶ官僚候補生たちが、複数ある学説のいずれを採用するべきであるのか判断に迷うという事態が生じたためでした。そこで、間違った学説をとりのぞいて、正しい学説を示すことを目指して、『令義解』の編纂計画が立てられたのです。
『令義解』は、文学的な古典に比べて一般の人々には馴染みがないかもしれません。しかし、法律に携わる役人を育成するための教育という側面から、『令義解』という書物を見ていくことにより、今日の教育にも通ずる問題を考えてみたいと思います。