第●回大倉山講演会/『日本書紀』ヤマトタケルの物語
平成19年度「日本古典に親しむ」/第4回
『日本書紀』ヤマトタケルの物語
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講 師:谷口雅博(國學院大學)
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日 時:平成20年(2008)1月19日(土)
ヤマトタケルの物語は、古代日本の英雄伝説として広く知られています。天皇として即位することなく、戦いの後に死を迎えるヤマトタケルですが、文献によっては「天皇」と記されるものもあり、また名前の読み方に異説があるなど、謎の多い存在です。また、一口にヤマトタケル物語といっても、『古事記』と『日本書紀』とでは描かれ方に大きな相違があります。父子の確執や、悲劇的な死の様子を語る『古事記』に比べ、『日本書紀』の方は文芸性が乏しいと評価されることがあります。しかしそれは両書の語ろうとする目的の相違であって、優劣をつけられるものではありません。
今回は特にヤマトタケルと、三浦半島沖の走水の海で入水したオトタチバナヒメとの話に焦点をあて、『日本書紀』独自の物語世界について考えます。