第●回大倉山講演会/昔話の世界で、日本とインドはどのようにつながっているか
平成23年度「昔話に見る人間観、自然観、宗教観」/第3回
昔話の世界で、日本とインドはどのようにつながっているか
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講 師:坂田貞二(拓殖大学名誉教授)
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日 時:平成23年(2011)6月18日(土)午後2時~午後3時30分
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会 場:横浜市大倉山記念館ホール
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定 員:80名(入場無料、予約なし当日先着順)
竜宮城のお姫さまが病気になったときに猿の生き肝を食べると治ると言われ、亀が猿を騙して肝を取ろうとして------という設定の「猿の生き肝」、亀が池の外も見たいと言うので鶴がくわえる棒を亀もくわえて空を飛んで------とはじまる「鶴と亀の旅」は、日本で親しまれています。これらは「日本の昔話」です。ところが西暦1~6世紀のあいだに成立したインドの説話集『パンチャタントラ(五巻の書)』に、「猿の心臓をとりそこなった鰐」や「亀と二羽の白鳥」の話があります。これらは、仏教伝来にともなってインドの話が日本に伝わり、日本の風土に馴染んで親しまれている例です。
いっぽう地域と民族に独自の昔話も多々ありましょう。昔話がどのように語られ、聞かれて時間と空間を旅するのか。そういうことを、日本昔話の記憶を掘りおこしながら考えましょう。
日本の昔話については、語りの雰囲気を伝え、注で昔話の国際比較のヒントを示している稲田浩二・稲田和子編著『日本昔話百選 改訂新版』(三省堂、2003年)を参照します。