第●回大倉山講演会／有島武郎における近代化－横浜・札幌・アメリカ・ホイットマン－
平成26年「文芸作品に表れた近代化」/第3回
有島武郎における近代化－横浜・札幌・アメリカ・ホイットマン－
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講 師：小玉晃一（青山学院大学名誉教授）
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日 時：平成26年（2014）5月17日（土）
明治11年に東京で生まれた有島武郎(ありしまたけお)は、15年に父親が横浜税関長になったため、日本で最もハイカラで、近代化の進んだ横浜に移り、山手の宣教師の塾へ通います。ここでキリスト教の雰囲気を知り、童話『一房の葡萄』が生まれました。学習院を経て、札幌農学校でクラーク精神に出会いますが、有島文学の原点は横浜・札幌にあると言えます。
札幌で本格的にキリスト教に接し、内村鑑三や新渡戸稲造(にとべいなぞう)の影響もあり、入信します。農学校卒業後、渡米、ペンシルヴァニア州のハヴァフォード大学で歴史と経済を学びますが、これはクエーカーの大学であり、そのあとボストンのハーヴァード大学時代に知った詩人ウォルト・ホイットマンの『草の葉』によって、有島のキリスト教は変質します。
「白樺」派の作家として『或る女』『小さき者へ』などを書きますが、『或る女』のヒロイン早月葉子(さつきようこ)こそ近代化された横浜が産んだものと考えられるでしょう。