第77回 情報収集の味方 -便利になる図書館-
- 2005.05.01
文章の一部を参照・引用される場合は、『わがまち港北』(『わがまち港北』出版グループ、2009年7月)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。
このシリーズの原稿を書くために、筆者はこれまで何度も図書館に通っています。それでも、まだまだ見落としていた資料や、知らなかった資料が沢山あります。そうした資料調査に、4月4日から強力な助っ人が加わりました。横浜市中央図書館のホームページに開設された「Yokohama's Memory《都市横浜の記憶》」のコーナーです。早速、使ってみました。
「Yokohama's Memory」は、市中央図書館が所蔵している横浜の歴史と文化に関する貴重な資料を、自宅のパソコンで見ることが出来るようにしたものです。
手始めに、キーワードからの検索で「大倉精神文化研究所」を調べてみました。昭和9年『神奈川区勢要覧』、昭和15年横浜市産業部発行の『横浜案内』・『横浜の市勢』に記事があることが分かりました。いずれも私は全く知りませんでした。早速、これらの本の全ページを見て必要箇所をプリントしました。
次に「綱島」で検索すると、64件の資料が見つかりました。その中には、綱島温泉の絵ハガキ32枚も含まれています。貴重な写真で、年配の方にはきっと懐かしい風景でしょう。
中央図書館では、以前からペリーや震災などテーマを限定した一部の資料についてはホームページで公開していましたが、今回は、横浜について調べるための本が約4,000点、地図が約200件、浮世絵約400点、絵ハガキ約2,800点などを丸ごと見ることが出来るようになりました。研究所から寄贈した昭和5年(1930)の東急の「沿線案内」も公開されていました。
港北区域関係の資料としては、地図に注目してみました。港北区域は、昭和2年(1927)10月1日に横浜市へ編入された地域と、昭和12年(1937)4月1日に編入された地域と、昭和14年(1939)4月1日に編入された地域とで構成されています。その頃の地図から昭和32年(1957)までの古い地図をカラー表示で見て、プリントをすることが出来ます。しかも、細かい文字などを実物より拡大することが出来ますから、嬉しい限りです。これまでは中央図書館へ行ってマイクロフィルムかCDで見て、モノクロのプリントしか取れませんでしたので、ずいぶんと便利になりました。
『横浜市史』(全34冊)『横浜市史Ⅱ』(全16冊)の索引約47,000件、横浜市の年表約15,000件も役立ちます。全834ページ、2.7キロもある『横浜の本と文化』(横浜市中央図書館、1994年)も全文を読むことが出来ます。
まだ公開が始まったばかりで、使い勝手があまり良くないところもありますが、今後さらに改良され、内容も充実していくと思われます。利用者の便宜と資料保存の両面から、今後、図書館の重要な業務になっていくでしょう。皆さんも、興味のあるテーマで検索してみて下さい。きっと新しい発見があるはずです。
一方、県立図書館では、4月14日から県内公共図書館の蔵書の横断検索が出来るようになるそうです。これを書いている4月7日現在では、全国47都道府県立図書館の内、29都道府県の図書館で横断検索が出来ます。神奈川県は30番目になるようです。古い本や珍しい本で、所蔵している館の少ないものについて、1館ずつ蔵書検索をしていかないでも、一度に県内の主要な図書館の所蔵状況を確認することが出来るようになります。
図書館は、より便利に、そしてより身近な存在へと進化し続けています。どうやら、情報化のおかげで、私の執筆のネタも尽きることがないようです。
記:平井 誠二(大倉精神文化研究所専任研究員)
(2005年5月号)