第79回 港北の作家たち
- 2005.07.01
文章の一部を参照・引用される場合は、『わがまち港北』(『わがまち港北』出版グループ、2009年7月)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。
岩田忠利(いわたただとし)さんが編集長をされている情報誌『とうよこ沿線』は、25年前の1980年(昭和55)7月7月に創刊されました。以後、2000年(平成12)7月31日発行の74号まで20年間にわたって東横線沿線の人々の生活を記録し続けてきました。現在は、古い写真を沢山集めた写真集『わが町の昔と今』のシリーズが忙しくて休刊中ですが、私たちにとってはこの『とうよこ沿線』自体がすでに貴重な歴史史料になりつつあります。
前回紹介した梶山季之(かじやまとしゆき)『夢の超特急』は『とうよこ沿線』18号に紹介されていますが、先日、太尾町(ふとおちょう)の中島志郎(なかじましろう)さんから、同誌46号に区内在住の直木賞(1988年、第99回)受賞作家西木正明(にしきまさあき)さんのインタビュー記事が掲載されていることを教わりました。そこで、『とうよこ沿線』全冊を読み直して、区内在住者として著作が紹介されている方や文筆関係の方をリストアップしてみました。( )内は、紹介されている肩書きと掲載号数です。
荒川洋治(あらかわようじ、詩人、1号)、李家正文(りのいえまさふみ、随筆家、1号)、伊藤信吉(詩人、1・2・32号)、鷹羽狩行(たかはしゅぎょう、俳人、1・7号)、安西篤子(直木賞作家、1・8号)、遠藤雅子(随筆家、8号)、桜井あさを(童話作家、9号)、山本彦太郎(詩人、9・17号)、西木正明(直木賞作家、25・46号)、相馬文子(そうまあやこ、35号)、越村信三郎(こしむらしんざぶろう、経済学博士、40号)、大崎春哉(おおさきはるや、43号)、ゆりはじめ(文芸評論家、50号)、金田祐子(歌人、51・62号)、中川八郎(57号)、若城希伊子(わかしろきいこ、作家、58号)、田辺雅文(作家、58・71・72・74号)、ごずじゅんこ(童話作家、58号)、摩尼和夫(まにかずお、住職、59・70号)、黒田あゆみ(アナウンサー、60号)、滝嶋芳夫(61号)、宮原芽映(みやはらめばえ、作詞家、66号)、重田友三郎(社長、72号)、山室まさ(72号)
1964年(昭和39)に第52回直木賞を受賞された安西篤子さんもおられました。24名の方がどのような作品を発表されているのかは、『とうよこ沿線』を御覧になるか、市の図書館で検索してみてください。
本シリーズでも、これまで第33回の押尾寅松さん、第37回の佐々井信太郎さん、第46回の臼井義幸(うすいよしゆき)さん、第54回の小嶋英佑(こじまえいすけ)さんの著作等を紹介してきましたが、『横浜・都市の鹿鳴館』『ヨコハマ建築・都市物語』などの著作を出版されているエッセイストの鈴木智恵子(別名、久我万里子)さんも区内在住の方です。
さて、中島志郎さんから西木正明著『ルーズベルトの刺客』(新潮文庫)をお借りしました。同書は、太平洋戦争前後の上海を舞台とした作品です。大倉精神文化研究所の創設者大倉邦彦は、上海の東亜同文書院という学校を1906年(明治39)に卒業しています。『ルーズベルトの刺客』の参考文献にも東亜同文書院関係の著作が掲げられています。研究所の図書館閲覧室では、「大倉邦彦と東亜同文書院展」を6月29日から7月16日まで開催しています。下記の通り、7月9日には講演会も開催します。是非お立ち寄りください。
記:平井 誠二(大倉精神文化研究所専任研究員)
(2005年7月号)