第28回 子どもとお地蔵さま─むかし話、その6─
- 2018.07.15
文章の一部を参照・引用される場合は、『わがまち港北3』(『わがまち港北』出版グループ、2020年11月)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。
むか~し昔、大曽根では、赤ん坊が生まれると、村の辻にあるお地蔵さまの前に生まれたばかりの子を捨てる風習がありました! 本当にあったお話です。とても怖そうですが、育児放棄や口減らしの間引きではありません。
親が赤ん坊を捨てると、物陰から見ていた近所のお婆さんがすぐに近づいて抱き上げて、親の家へ運びました。事前に両親がお婆さんに頼んでいたのですね。両親は、赤ん坊を運んできたお婆さんを座敷にまねいて、たくさんの御馳走で歓待して、お礼をしました。
なぜそんなことをしたのでしょうか? この話を紹介している大曽根小学校編『大曽根の歴史』によると、昔の人は、「お地蔵さまは、子どもの神さまで、子どものことは何でも聞きとどけてくれるとかたく信じていました。それで、子どもが丈夫に育つように、すて子のまねごとをした」のでした。
昔は医学が未発達で、病気で亡くなる赤ん坊が沢山いました。お地蔵さまに子どもの健康を願ったのですね。捨て子の風習は昭和の初めまで続けられていたそうです。(S.H)
(2018年7月号)