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大倉精神文化研究所

横浜市港北区地域の研究

第55回 県下新住宅地十佳撰投票の記念碑―地域の外、その3―

2021.01.15

文章の一部を参照・引用される場合は、『大倉山STYLEかわら版!』(令和3年1月号)を確認の上、その書誌情報を典拠として示すようお願いいたします。


 第53回で、横浜貿易新報が、昭和5年4月から5月にかけて実施した「県下新住宅地十佳選投票」の話を書きました。実はその投票期間中の5月5日に、当選箇所へ記念標(記念碑)を建てることが発表されます。その影響もあってか、投票後半戦は新聞を大量買いした組織票が急増し、さながらアイドルグループの総選挙のような盛り上がりをみせます。結果として、妙蓮寺前の住宅地が第5位に入選しました。
 では記念碑は本当に建てられたのでしょうか。いくら探しても見つけられないでいたら、横浜開港資料館・横浜都市発展記念館の青木祐介副館長が、妙蓮寺の脇にあることを教えてくださいました。それで撮影したのが、下記の写真です。石碑は、妙蓮寺東門の門扉と比較するとその大きさがよく分かります。当時、妙蓮寺の裏山が新しい住宅地として開発されていたことが分かります。
 余談ですが、石碑から少し歩いた先には、明治45年(1912)に日本人として初めて南極大陸に上陸したことで有名な白瀬中尉が、昭和13年から16年まで住んでいた家がかつてありました。
 この石碑、現在ではその存在が注目されることもなく、静かに住宅地を見つめています。石碑が建てられたのは10位タイの場所までで、13位(53回で12位と書いたのを訂正します)で選外特選となった綱島には建てられていないようです。(S.H)

追記
『わがまち港北 3』がやっと完成しました。本紙2019年7月号で、10月末までには刊行したいと書きましたが、1年遅れの2020年11月刊になりました。区内の主な書店とオンライン書店で販売しています。

DSC08630.JPG

当選記念碑 裏面には「昭和五年五月」とのみ刻まれています

(2021年1月号)

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