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大倉精神文化研究所

横浜市港北区地域の研究

梅林

2022.03.29

観梅の歴史は古く、すでに奈良時代から行われており、『万葉集』には118首の歌が載せられています。これは桜の3倍以上で、それほどに人気がありました。

さて、大倉山駅を下車して線路沿いに坂道を登り、大倉山記念館の脇をぬけて少し下ると、龍(りゅう)松(しょう)院(いん)の手前に梅林が見えてきます。この梅林は、東急電鉄が龍松院から土地を購入し、昭和6年に開園したもので、小森嘉一氏(90歳、大倉精神文化研究所元研究員)の話によると、学芸大学の辺りにあった金持ちの方の別荘の梅を移植したのが始まりだそうです。その後、昭和18年頃に大倉邦彦が旧制の高等学校を大倉山に開校しようとしたとき、校地に譲り受ける計画もありましたが、実現しないままに、戦後を迎えました。

戦後も梅林には数百本の梅が咲き誇り、東横線沿線の観光地として賑わい、かつては観梅の時期に臨時急行「観梅号」が大倉山駅に止まったこともあったそうです。

梅林は、昭和58年から61年にかけて東急から横浜市に売却され、再整備の上、平成元年に今の形で開園されました。現在は、25種類、約180本の梅が植えられています。一番本数が多いのは大きな実を付ける「白加賀(しらかが)」ですが、中国伝来で花が緑色がかった「緑(りょく)萼(がく)梅(ばい)」、白とピンクの花を思いのままに咲かす「思いのまま」などといった珍しい梅もあります。6月頃には、実を付けますが、港北観光協会から園芸農家に依頼して実を集め、協会推奨の大倉山梅酒「梅の薫」を造り、観梅会の時に販売しています。観梅会から1ヶ月程すると梅林周辺は桜が満開になります。

梅の木の一覧
一重野梅(ひとえやばい)2本
田子の浦(たごのうら)1本
古今集(こきんしゅう)2本
八重野梅(やえやばい)1本
思いのまま(おもいのまま)1本
見驚(けんきょう)3本
筑紫紅(つくしこう)1本
八重寒梅(やえかんばい)1本
野梅(やばい)11本
月影(つきかげ)2本
白玉梅(しらたまばい)2本
緑萼梅(りょくがくばい)3本
大盃(おおさかづき)1本
八重唐梅(やえとうばい)5本
鹿児島紅(かごしまこう)1本
唐梅(とうばい)3本
桜梅(さくらばい)1本
白加賀(しらかが)40本
豊後(ぶんご)1本
花香実(はなかみ)1本
臥龍梅(がりゅうばい)1本
茶筅梅(ちゃせんばい)1本
その他・不明約80本
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